筆者は今でこそWebディレクターをしていますが、以前は建設現場で職人として働いていました。
建設業の資材や道具って名称がややこしく、働き始めの頃は物の名前を覚えるだけでも大変だったことを覚えています。
今回はそのなかでも、「なんでこんな名前なの?」と感じた面白い名前の建設道具を紹介します。
面白い名前の工具1. だっこちゃん
1つ目からインパクトの強い名前ですが、本当にある名前です。
だっこちゃんとは型枠大工が使う金物の名称で、セパと呼ばれる金属の棒を継ぎ合わせるために使用します。
セパとはコンクリートを打つ際に、壁や梁を計画していた厚みにするために使う金物で、コンクリートを使用する建造物では必要不可欠な存在です。
そのセパは各場所ごとに決まった長さのものを発注するのですが、稀に長さを間違えてしまったり、図面に変更があって用意していたセパが使えない場合があります。
その際に役立つのがだっこちゃんです。2本のセパをそれぞれ継ぎ合わせることで、希望の長さに調整できます。

面白い名前の工具2. ネコ
四足歩行の愛玩動物ではもちろんなく、土や砂利などを運搬する際に使う道具の名前です。主に土工が使いますが、ちょっとした荷物・資材も載せられるので幅広い業種の職人が助けられています。
「工事現場で使う手押しの一輪車」といえば、イメージできる人もいるのではないでしょうか。
なぜネコと呼ぶようになったかは諸説あります。「キャットウォーク」という通路を通るからだとか、押している人が猫背になるからだとか…

面白い名前の工具3. ガッツ
名前からして強そうですが、だっこちゃんと同じくらいの大きさしかない金物です。
こちらも型枠大工がよく使う金物で、だっこちゃんがセパ同士を継ぎ合わせるものだったのに対し、ガッツは鉄筋とセパなど異なる棒鋼を継ぎ合わせられます。
ガッツを使用することで、継いである鉄筋をガッチリ固定して1本の強い鉄筋にしたり、さらにその鉄筋とセパを継ぎ合わせてセパの代わりにしたりなど幅広い用途で使用可能です。
もちろん、溶接レベルでガチガチになるわけではないので過信しすぎると危ないですが、ある程度のものならガッツの力のみで固定できてしまいます。

面白い名前の工具4. アンチ
アンチといえば、ネット上で「あの芸能人嫌いー」といった攻撃を匿名でおこなう人のことを思い浮かべそうですが、もちろん違います。
アンチとは足場に使う布板のことです。鳶をしている人ならお馴染みでしょう。布板とは足場板の両端にフックが付いていて、単管に引っ掛けられる形状のものです。
狭小住宅など、余程スペースが取れない現場でない限りは、アンチを使って足場が組まれます。

面白い名前の工具5. モンキー
もちろんお猿さんでなく、幅が調整できるレンチのことをモンキーと呼びます。略さないとモンキーレンチです。
レンチとはボルトやナットを緊結するために使う工具で、鳶や型枠大工、設備屋がよく使います。
初期の形状が猿に似ていたとか、これを使っていた海外の若い配管工達が天井近くを猿のように移動していたとか、名前の由来は諸説あります。

建設業には面白い名前の道具・工具がたくさん
ここまで紹介した5つ以外にも、建設業には面白い名前の工具・道具が多くあります。
というかそもそも、建設業って道具・工具の名前がややこしすぎるんですよね。ハンマー、とんかち、げんのう…全て釘を打つ道具ですが、建設業以外で違いがわかる人は少ないと思います。
知ってたらちょっとした小話としてネタにできますので、興味がある方は調べてみてください。