職人における「請負」とは?現場の仕事で稼ぎたいなら知っておこう

職人における「請負」とは?現場の仕事で稼ぎたいなら知っておこう 職人の基礎知識
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現場の職人として成功したいなら、「請負」という業務形式を覚えておきましょう。

建設現場で働いていれば、会話のなかで「請けで仕事を~」なんて聞いたことがあることも多いと思いますが、実際にどういったことをするのか、何が必要なのかを理解している方は多くありません。

実際に筆者も職人として駆け出しのころは、「成功した人ができる儲かる仕事の請け方」なんて漠然とした考え方をしていました。

将来成り上がりたいと野望を持っている方に向けて、本記事で請負について詳しく紹介します。

請負=最初から最後まで全てを請け負うこと

職人における請負とは業務の最初から最後まで全てを請け負うこと

職人における請負(受取)とは、該当業務の最初から最後まですべてを行うことを指します。

型枠大工という職種で説明すると、材料の拾い出し・加工・金物の用意からはじまり、それら資材を搬入して現場で作業、解体・撤去まで全てが業務範囲です。

また常用や応援といった日当形式と給与形態も異なり、請負の場合は完成物に対していくらで支払われます。

そのため請負では効率よく作業を進めて、人員や資材を節約すればする分だけ費用が余って利益につながるということです。

  • 無駄のない拾い出しや工程管理ができる経験能力
  • 材料の置き場
  • 資材を搬入・搬出するためのトラックや人員
  • 作業や加工を行う現場作業員

よって請負で仕事を受注するためには、必然的にこれらが必要となります。

つまり請負で仕事ができるということは、職人として成功している証なのです。

請負で仕事を受注する3つのメリット

  • 常用より高い利益が見込める
  • 100%自分の裁量で現場を動かせる
  • 1から10まで関わっているため達成感が大きい

請負で仕事を受注することには、上記のメリットがあります。

それぞれについて、詳しく解説します。

常用より高い利益が見込める

まず請負の場合、支払い金額のなかには修繕費用や諸経費などが、ある程度多めに計上されています。

完成物に修繕を必要とせず、かつ人件費や経費を抑えられれば、その分がそのまま黒字として表れるわけです。

常用や応援の「やった分しかもらえない」給与形態と異なり、「上手くやればやっただけ儲かる」システムなので、現場仕事で大きな利益を得たいなら請負で仕事ができるようになりましょう。

100%自分の裁量で現場を動かせる

請負で仕事を受注している=その職種の責任者であるため、現場を自分の裁量で動かせます。

よって、使われている立場である常用や応援の職人とは、自由度の高さが全く違います。

大きな現場だと同じ職種で請負先が分かれていることもありますが、それでも裁量は大きく握れて口出しされることもほぼ無いので、気持ちよく仕事ができるでしょう。

1から10まで関わっているため達成感が大きい

材料が用意されて作業だけを行うのと、図面を渡されて最初から最後まで全て携わるのとでは、達成感が大きく異なります。

筆者も職人だった頃、初めて拾い出しやスケジュール管理を自分でおこなって現場を納めた際は、一人前になれたことを強く実感しました。

大きなやりがいを求める方は、請負で仕事ができるように励んでみてください。

請負で仕事を受注する3つのデメリット

  • 常用以上に大きな責任が伴う
  • 人員や置き場の維持にコストがかかる
  • ゼネコンや現場所長との付き合いが増える

上記3つが請負で仕事を受注するデメリットです。以下より詳しく解説します。

常用以上に大きな責任が伴う

請負で仕事を受ける以上、その現場を問題なく完遂させる必要があります。

赤字が出た場合の補填も、常用であれば工務店が面倒をみてくれたかもしれませんが、請負では自分がなんとかしなければなりません。

裁量を得た分、業務の責任も大きくなるので、気楽に仕事をしていたい方には請負は向いていないでしょう。

人員や置き場の維持にコストがかかる

請負で仕事をするために必要だと挙げた「人員」と「置き場」ですが、どちらも維持にコストがかかります

とくに置き場は仕事が途絶えても恒常的に費用がかかりますし、人員は仕事がなかったり気に入らないことがあったりすると離れていくため、今まで以上に気苦労が増えるでしょう。

収支計算や作業員のケアなど経営者的な能力も必要になるので、親方レベルになった時点でそういった視点も磨いておかなければなりません。

ゼネコンや現場所長との付き合いが増える

こちらは人にもよりますが、ゼネコンや現場所長との付き合いにも気を遣うようになります。

筆者は接待や会食などの、ビジネスにおける人付き合いがとても嫌いでした。ですが立場が上になってくるにつれてゴルフに同行したり、現場の飲み会で5次会まで参加したりを余儀なくされます。

というのも、建設業は少し古いとされる価値観が未だ健在です。「飲んで仕事を取ってくる」といったようなことも、請負で仕事をしていれば今後のために断れないのです。

請負で仕事ができる=現場職人としての成功

請負で仕事ができる=現場職人としての成功

請負のメリット・デメリットなど紹介しましたが、それでも請負は大成したい職人にとっての終着点だといえます。

工務店を立ち上げて社長となり実務に全く関わらなくなれば、なお成功したといえるでしょう。

ただ大きい裁量を得る分、請負契約など法による縛りもかかわってくるため、責任感が強い方でないと請負で仕事はできません。

これから現場の職人として一生働いていきたいと言う方は、ぜひ目指してみてください。

出典:契約関係とその規律について|国土交通省

この記事を書いた人
元職人Y

神奈川県横浜市生まれの30代前半の男
5年ほど型枠大工として活動
玉掛けやクレーン操縦など、現場職に必要不可欠な資格を多数保有
現在はWeb系の仕事へ転身し、建設業についてのリアルな情報を発信して認知度向上とイメージ改善に努める

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