建築現場の職人は、働き口が多く始めやすい仕事である一方で、人によって向いている向いていないがハッキリと分かれるシビアな仕事でもあります。
どうしても力仕事かつ危険作業でもあるため、実際にお子さんが建設業を始める際に「向いていない」と反対する親御さんも多いです。
ですが元職人である筆者は、世間一般の向いている・向いていないという判断が間違っていると感じていました。
実際に筆者の職人時代、職人に向いていると息巻いて業界に入ったにもかかわらず、数週間で辞めていった人は多かったです。
本記事では職人に向いていない人の特徴3つと、実は向いている人の特徴を3つ紹介します。

大雑把=男らしいと勘違いしている人


職人として働こうとしている方のなかには、上記のような大雑把なことを豪快、または男らしいと勘違いをしている人がいます。
そういった方は職人には向いておらず、現実とのギャップが嫌になり辞めていくのも早いです。
実際の現場仕事では、施主や現場監督の目があるため部屋はできるだけこまめに片付けておく必要がありますし、図面と完成物にズレがあるなんてプロとして論外です。
大雑把=適当であり、決して豪快や男らしいとはなりません。そのように勘違いをしたまま仕事を始めて怒られたとき、「あれ?なんか思ってたのと違うな」と感じて辞めていく人は多いです。
人見知りをしてしまう人
基本的に建築物は、ひとつの業種で完結することはありません。たとえば一般的な住宅であれば、おおまかに以下の工程を要します。
- 建築士が図面を書く
- 現場監督が図面を見て段取り
- 地盤業者による地盤改良
- 型枠大工(鳶)による基礎工事
- 木造大工・型枠大工などによる躯体工事
- 設備業者による電気・ガス・給排水の工事
- 造作大工や内・外構屋による仕上げ
※確認申請などは除いています。
※工法や建物の規模などで変動します。
たとえば、地盤改良の進み具合は基礎業者の乗り込み日に関わってきますし、基礎の仕上がりは躯体業者に関わってきます。
もちろんそれら以外にも、業者同士が絡む部分は多いです。大きい現場であればあるほど職人の間で打ち合わせや申し送り事項は増えるため、他人に遠慮して発言ができない人は現場仕事において不利だといえます。
また不利なだけでなく、「なんで言わなかったんだ」とドヤされることも多いため、それが嫌になって辞めていく人も多いです。
忍耐が足りない我慢弱い人
建設現場の作業は辛い仕事です。夏は暑く冬は寒いですし、下積み期間も長く年上から沢山コキ使われます。
そのため我慢弱くすぐ音を上げる人、とくに口より先に手が出てしまうなんて人は、職人に向いていません。
たしかに、昔は建築現場で殴り合いの喧嘩なんてザラにありましたが、今は時代も変わって現場内はとてもクリーンになりました。
我慢強く忍耐力がないと、職人として大成することは難しいでしょう。
超意外!職人に向いている人3タイプ
前章に対して、職人に向いている人の特徴3つを紹介します。
上から指図されるのが嫌いな人
親方や先輩から命令されるのが面白くないという人は、職人に向いています。
一応従いつつも納得せずに、「こいつら早く追い抜かしてやる」と考えられる人は、仕事の覚えも早く大抵のことではへこたれません。
結果的には辞めているものの、実際に筆者はこの精神で長く職人を続けて地位を高めていきました。もちろん、誰彼構わずに尖っているのとは違い素直であるのが大前提ですが…。
負けん気が強い人は職人に向いているので、覚えておきましょう。
力を使うのが嫌いな人
力仕事をあまり好まないという人は、どうすれば力を使わずに仕事ができるかを日々考えて、作業を効率化していきます。
また自分で動かないで済むよう、早く仕事を覚えて偉くなろうという向上心にも繋がるため、とても職人向きだといえるのです。
職人である以上、一定の力仕事はついて回りますが、力仕事が嫌いという人こそ、職人を検討してみてはいかがでしょうか。
神経質・理論的な人
今まで生きてきて「おまえ細かい奴だなぁ」と、誰かに言われた経験がある人は職人に向いているでしょう。
神経質な人は、乱雑なイメージがある現場の仕事なんてできないと思われがちですが、神経質だからこそ現場を綺麗にして図面通りのものを仕上げられます。
また理論的な人も、ロジカルに物事を考えて仕事の優先順位を決定できるため、職人として大成しやすいです。
実際に親方や工務店の社長は、豪快さがありつつも理論的な一面を持っている人が多くいます。
向いていないと諦める前に1度なってみるのもアリ!
職人は良くも悪くも、始めやすく辞めやすい仕事です。
また出入りが多い職業であるため良い意味で人が辞めていくことに慣れている方が多くいます。
よって、自分は向いていないと諦める前に、「1ヶ月くらいやってみようかな」など、気軽にデビューしてみるのもよいでしょう。
自分は向いていないと思っていても、作業着に袖を通して足袋を履けばなにかが変わるかもしれません。
職人に興味はあるが迷っているという方は、とりあえず少しの間でも現場仕事を経験してみてはいかがでしょうか。