職人を辞めたいと思う理由や感じる瞬間8選!辞め方まで徹底解説

職人を辞めたいと思う理由や感じる瞬間8選!辞め方まで徹底解説 職人コラム
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筆者は二十歳前から数年のあいだ「型枠大工」という職人をしていましたが、30歳手前である今Webディレクターという職業に転職をしています。

高校・専門学校と建築に関わってきたため建設業は大好きでしたし、数年続けていたためお給料・ポジションともに好条件だったのですが、それでも辞めたいと思ってしまったのです。

実際に建築施工関係の求人を多く取り扱う大手ポータルサイト「トントン」においても、電気工事士をやめとけと言われる理由について丁寧に解説されています。

今回は実際に職人を辞めた経験を持つ筆者が、職人を辞めたいと思った理由や瞬間、理想的な辞め方まで解説します。

職人を辞めたいと思った瞬間&理由8選

職人を辞めたいと思った瞬間&理由8選

  • 将来的に続けられるか不安になった
  • 他人に重大な怪我をさせたorさせかけた
  • 自分が怪我した・死にかけた
  • 常につきまとうリスクに嫌気がさした
  • 他職種の好条件に劣等感を感じた
  • 面倒な先輩と揉めた
  • 金銭的なトラブルに見舞われた
  • 3K(きつい・汚い・危険)が嫌になった

実際に職人をしているなかで、筆者が「辞めたい」と感じた瞬間は上記の8つです。

それぞれについて、理由と共に紹介します。

将来的に続けられるか不安になった

職人を続けていてよく思ったのが、「いつまでこの調子で働き続けられるだろうか」ということです。

重いものを担ぐたびに痛む腰、年々暑くなる夏の気温など、60歳まで職人を続ける自信がありませんでした。

それに60歳という数字も成功した場合で、使われる立場を脱却できなければ60歳になっても仕事は辞められません

『明日は我が身』ではないですが、実際にそういった境遇の年配の方が周りに多くいたため不安は拭えませんでした。

安定した老後を迎えるビジョンが浮かばないのが、職人を辞めようと考える理由のひとつです。

他人に重大な怪我をさせたorさせかけた

高所作業や重機の往来など、現場作業には危険がつきまとっています。

自分が怪我をするならまだしも、他人に怪我をさせてしまうと大きな責任を負いますし、強いトラウマにもなるでしょう。

実際に筆者も高所で作業をしていて、資材を下階に落下させてしまったことがあります。

その時は2mほどの資材が落下防止ネットをすり抜けて落ちていき、5階ほど下で作業をしていた職人の方の腕にかすりました。

大きな怪我ではなかったものの、もしアレが首に当たっていたら確実に致命傷になっていたため、それを考えると今でもゾッとします。

「他人に怪我をさせてしまうかもしれない」と、常に意識を張りつめる仕事を続けたくないと思ったのです。

自分が怪我した・死にかけた

上述したとおり現場作業には危険が付き物で、それが他人でなく自分に降りかかる可能性も大いにあります。

自分が怪我をしたり、あまつさえ死にかけたりしたら仕事を辞めたくなるでしょう。

筆者は型枠大工であったために、解体中の階で釘を踏むなどした際に「普通のオフィスなら釘を踏むなんてこと無いのになぁ」なんて考えていました。

また、完成間近の建物の屋上でベニヤを担いでいた時に風にあおられて、バランスを崩し親綱も何もない端部に転がったこともあります。

あと50cmほどズレていたら数十メートルを真っ逆さまに落ちていたため、強烈なトラウマとして記憶に焼き付いています。

そういった怪我や事故が嫌になって、辞めることを考える方も多いでしょう。

常につきまとうリスクに嫌気がさした

職人は朝早いため、毎朝眠気と戦いながら長距離を運転します。

その時点で、通常の電車通勤の仕事と比較すると事故を起こす可能性も高いといえるでしょう。

また頭上を資材が行き交うなど、落下物による被害を被る危険も潜んでいます。

筆者はそういった、慢性的につきまとう危険に嫌気がさして、職人を辞めたいと思いました。

他職種の好条件に劣等感を感じた

同窓会などで、知人友人の職場環境や条件に劣等感を抱くことも多いです。

  • 土日祝休み
  • ボーナスが絶対貰える
  • 有休が沢山ある
  • 福利厚生がしっかりしている

ほとんどの職人からしたら、上記の条件は超魅力的に感じることでしょう。

『隣の芝は青い』というように、そういった劣等感を抱くことから「そのうち辞めてやる」と繋がることも多くあります。

面倒な先輩と揉めた

職人は経歴・学歴を問わないため、元ヤ◯ザや前科持ちなど俗に言うアウトローが多く集まります。

そういった経歴の方の根が絶対に最悪というわけではありませんが、実際タチが悪い人の比率は大きいです。

そして、その一部のタチが悪い方とトラブルを起こしてしまい、面倒ごとを避けるために辞めるということも多くあります。

現場の場合は全て自己解決しなければなりません。親方は忙しいため、現場内にて付きっ切りで守ってくれるなんてことはあり得ないのです。

また、そもそも一般企業ならば妙な人は雇われませんし、何かを吹っかけてきても左遷などして守ってもらえます。

そういった面倒な先輩の存在も、職人を辞めようと考える一因です。

関連記事:職人の人間関係は超複雑!意外なドロドロ人間模様を実体験を基に解説

金銭的なトラブルに見舞われた

現場作業員は酒・たばこ・女・ギャンブルを好む方が多くいます。

そのためお金遣いが荒い人も多く、金銭的なトラブルも多いです。

実際に筆者の周りにも借金や前借りをしている人が沢山いて、お給料日に待ち伏せされているなんて人もいました。

怖いのが、借りている人が「ほら返せ」と待ち伏せされるケースだけでなく、借金を踏み倒すことで有名な人が「貸してくれ」と待ち伏せをするケースもあることです。(名誉のために言いますが、筆者は貸してくれとしつこく迫られる側でした)

また一般企業と違い、職人の給料は手渡しであることが多いため、親方の「この日に払う」という口約束を信用して成り立っています。

そのため可能性は低いですが、親方からの給料未払いのリスクもあるでしょう。実際に筆者も「待ってくれ」と頼まれたことがあります。

それらの金銭的なトラブルにウンザリして辞めたいと思うこともあるでしょう。

3K(きつい・汚い・危険)が嫌になった

最後に、単純な理由として職人の仕事自体が嫌になったことが挙げられます。

肉体労働のためキツいことはもちろん、泥や粉塵にまみれるため肌や服が汚れるのが現場仕事です。

上述したような危険も多くあり、それら全てが嫌になって辞めたいと考える方も多いでしょう。

また3K自体を我慢できても、職人というだけで周囲からバカにされることも多くあります。

3Kと卑下される仕事であることが嫌になって、辞めたいと考える方も多いです。

理想的な辞め方5つのポイント

理想的な辞め方5つのポイント

とくに特別な手続きがあるわけではありませんが、職人には職人なりの「理想的な辞め方」があります。

  • 辞める辞めないの「相談」は要注意!
  • 伝える順番は親方が一番最初
  • その時に行っている現場が終わるまでは我慢しよう
  • バックレは最終手段!余程のことがない限りは厳禁
  • 業界は狭い!出戻りの可能性も考えた対応をするべき

実際に筆者が職人を辞める時に意識した、5つのポイントを紹介します。

辞める辞めないの「相談」は要注意!

辞める意志を固める前段階である「辞めようか迷っている」という状態のとき、誰かに相談したくなりますね。

その相談を恋人や家族にするならまだしも、班の中の誰かにする際は注意が必要です。

かなりの高確率で、相談した人以外にも辞めようか迷っていることが筒抜けになります。

辞める原因が対人関係であった場合、「あいつ誰々のせいで辞めるらしいぞ」と広まって、その本人とトラブルになる可能性もあります。

実際に筆者は、これで揉めていることを何度か見たことがあるので間違いありません。

辞める辞めないの相談は諸刃の剣なので、よくよく注意しましょう。

伝える順番は親方が一番最初

辞めることは親方に一番最初に伝えてください。

同じ班の仲間から先に伝えても、前述したように親方に伝わる可能性があり、そうした場合「なんで俺に直接言ってこないんだ」と思われてしまうからです。

また律義に工務店の社長に直接言う方もいますが、複数班を所有する中規模の工務店では社長に言っても意味がありません。

よほど親密でない限り、社長が一作業員の事情や状況を把握していることはないからです。

結局親方に許可を取れとなりますし、社長から親方に伝わったとき「なんで俺を飛び越えて社長に・・・」とマイナスに思われます。

また考えたくないケースですが親方の性格が悪い場合、「もうすぐ自分に言ってくる」と悟られることで、言いくるめる準備をさせてしまいうでしょう。

以上のことから、辞めることを親方以外に伝えるメリットは皆無だといえます。

その時に行っている現場が終わるまでは我慢しよう

一般企業であれば退職希望日の1~3ヶ月前に辞めたいと伝えますが、現場作業の場合は少し勝手が違います。

余程の理由がない限り、その時行っている現場が終わるまでは辞めてはいけません。

コンクリートのビルなどであれば一職種の工程が半年以上かかることもありますが、その期間は続けるようにしましょう。

理由としては、親方は班員の人数を考慮して現場を取ってきているため、途中で抜けられると多大な迷惑を及ぼすからです。

かける迷惑度をスポーツで例えると、スタメンちょうどの人数しかいない部活のうち一人が急に辞めるのと同じようなものです。

また注意点としては、もうすぐ終わる時期を狙って伝えることはリスキーだと覚えておきましょう。

タイミングによってはすでに次の現場も決めていて、今の現場だけでは済まない可能性もありますので。

ただ、応援の人員などを呼べば現場にも支障は出ないので、身の危険があるなど至急を要する理由の場合は、すぐに辞めてしまって構いません。

バックレは最終手段!余程のことがない限りは厳禁

前章にて、至急を要する場合はすぐに辞めてしまってよいと伝えましたが、それでもバックレは最終手段です。

辞める理由が余程悪質な場合は仕方がありませんが、お世話になった親方や仲間へ最低限の敬意を払いたいならバックレは避けましょう。

ですが実際、職人の世界では若手・ベテラン問わずバックレで辞める方が多くいます。

だとしても「周りがやっているから」と考えるのは間違いです。気持ちよく別の仕事に転向するために、最後は胸を張れる辞め方をしましょう。

業界は狭い!出戻りの可能性も考えた対応をするべき

最後ですが、辞めるからといって態度を悪くしたり、終盤サボりがちになったりなんてことをしてはいけません。

地域の建設業界は狭く、「あいつそういう奴らしいぞ」という噂は工務店を超えてすぐに広がります。

建設業は門が広いためいつでも始めやすく、辞めた後に出戻りをする場合も多いです。

万が一、出戻りをする可能性も考えて、最後に悪い対応をとらないようにしましょう。

なぜWeb系の職を選んだのか?

なぜWeb系の職を選んだのか?

職人とWebディレクターの2つは、「畑違い」なんて言葉では生ぬるいほど異なる職種です。

大きく異なる職種に転向した理由は3つありました。

  • 【最大の理由】今後衰退しない分野だから
  • リスクのある仕事から大きく離れたかった
  • 「日曜のみ休み」という環境下でもPCさえあれば勉強できた

【最大の理由】今後衰退しない分野だから

型枠大工からWebディレクターになったのは、今後必ず伸びる分野だと思ったからです。

たとえば現場仕事の場合、建設業に導入できるロボット開発なども進められていますし、人の手間を減らすための工法や道具も多く作りだされています。

もしかすると、そのうち人の手を要すること無くなって給料や出勤が削られるかもしれません。

対してWeb系の仕事の場合、一度なってしまえば食いっぱぐれることは無いと感じたのです。

どうせイチから再スタートするならば、今後一生続けられる仕事に就きたいと思いました。

リスクのある仕事から大きく離れたかった

また、筆者が辞めたいと思った一番の理由が「リスクが大きいから」でした。

肉体労働による怪我や故障のリスク、早朝の長距離運転やクレーン操縦などの事故のリスク、仕事が無いことによって収入が減るリスクなど、さまざまなリスクから離れられる仕事がよかったのです。

その点Web系の仕事は怪我や故障のリスクもありませんし、営業職でもないため運転する機会もなく、事故を起こす可能性もグッと減ります。

テレワークにも対応しやすいですし、固定給なので仕事の量によってお給料が減ることもありません。

リスクの少なさ安定感が魅力的であったために、Web系の仕事を選びました。

「日曜のみ休み」という環境下でもPCさえあれば勉強できた

転職する場合は、現在の仕事をしながら次の職場で役立つ資格取得勉強をするのが好ましいです。

ですが職人の場合、休みは基本的に日曜しかないため、次の仕事のための準備に割ける時間が限られています。

また肉体労働であるため、平日に家に帰ってきて勉強を続けることがそもそも体力的に難しいです。

それでもWeb系の仕事であれば自宅でできる教材も豊富にあって、PCひとつあれば勉強しやすく助かりました。

職人の仕事を続けながら勉強しやすかったためにWeb系の仕事を選んだのです。

今では、筆者が転職した時よりも豊富に教材が用意されているので、さらに学びやすい環境が整っているといえるでしょう。

「これしかできない」と言っていた先輩の言葉

「これしかできない」と言っていた先輩の言葉

最後に、「いつか辞めたい」と言いながら、いまなお職人を続けている先輩の話をします。

その先輩は中卒で職人をやっていましたが、サボり癖もひどく仕事も不真面目かつ乱雑であったため、親方によく怒られてはヘソを曲げていました。

同期をはじめ、デキる年下達が親方として活躍しているのも面白くなかったようで、日々の仕事のなかで何度も「辞めてやる」と言っていたのですが、結局辞めることはありませんでした。

その繰り返しのなかで一度、筆者は「結局辞めないんですか?」と聞いたことがあります。すると先輩は「俺はもうこれしかできないから」と言いました。

当時、先輩は30歳半ばで結婚をしており子供も二人いて、転職をしてイチから何かを始めるには余裕が無かったのです。

職人は確かに門が広くて誰しも始めやすく、お給料もがっつり貰えるため留まりやすい職業だといえます。

ただ、どんな理由であれ辞めたいと思うのであれば、勇気をもって行動に移してみましょう。

「いつでも辞められる」のは、実は今だけなのかもしれませんよ。

この記事を書いた人
元職人Y

神奈川県横浜市生まれの30代前半の男
5年ほど型枠大工として活動
玉掛けやクレーン操縦など、現場職に必要不可欠な資格を多数保有
現在はWeb系の仕事へ転身し、建設業についてのリアルな情報を発信して認知度向上とイメージ改善に努める

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