建設業の職人って、とにかくお金がかかるんですよね。ご飯代や道具代、交通費など挙げだしたらキリがありませんが、気になるのは「出費の多い職人はどうやったら貯金ができるのか」という一点でしょう。

本記事では建設業の職人が貯金をするためにおすすめの節約方法と、関連する知識やポイントを紹介します。職人として貯金をしたいと考えている人、また家計の負担を減らしたい職人の奥さんなどは、ぜひチェックしてみてください。
【結論】職人の貯金=出費を抑えることから始まる
まず大前提として、職人が貯金をするためには冒頭に書いたように「出費を減らす」ことが重要になります。つまりプラスを増やすのでなく、マイナスを削減することを優先して取り組みます。
職人は車移動の時間も含めて拘束時間が結構長く、肉体的にも負担が大きいため副業が難しいです。また、未だに年功序列の文化が強く根付いているため、昇給にも時間がかかります。
職人が今すぐ貯金できる体制を構築するためには、以下のような出費を抑えることから始めるべきです。
- 飲食費
- 道具代
- 車やバイクにかかるお金(維持費、ガソリン代など)
- お小遣い
- 税金
上記の内、まず税金は減らすことがかなり難しいので候補から除外します。普通に納税や確定申告をしていれば、払い過ぎているといったことはまずないでしょう。

よって、職人として削減すべき出費は以下の3つです。
- 飲食費
- 道具代
- 車やバイクにかかるお金(維持費、ガソリン代)
職人が貯金をするために意識すべき5つの節約方法
前述した3項目を削減する際に意識すべき節約方法は、以下の5つです。
- 朝食・昼食・飲み物は家から持ってくる
- 工務店ごとに利用できる制度は利用する
- 必要不可欠な道具以外は買わない
- カッパは最低でも半年は着る
- 靴は1足、作業着は3着あれば十分
字面で見れば大したことないように思えますが、全て重要度はかなり高いです。
それぞれについて、詳しくみていきましょう。
朝食・昼食・飲み物は家から持ってくる
単純なことですが、重要度としてはかなり高いです。たとえば朝食でカップ麺ひとつにお茶を1本買うと安くても300円ほど、昼食も同様としてそれが25日分だと300×2×25=15,000円になります。
「一般的な食費」という概念から見ればそんなに高くないかもしれませんが、実際のところはこの程度では済みません。毎食コンビニやスーパーで買っているとなると、確実に我慢できなくなるタイミングが訪れます。またそもそも、肉体的健康を維持するためにも、もっと多種多様なものを食べるべきでしょう。
また、稀に「食べなければ節約になる」という人もいますが、常に危険が伴う建設現場で働く職人の場合、それはかなり危険です。もし高所作業中に栄養不足でふらついたら、節約どうこう言っている場合じゃなくなります。

まとめると、満腹になりつつ栄養的な食事を外で買うのはかなりお金がかかるので、家で用意することがおすすめということです。また水分補給の頻度も多いので、飲み物も同様に用意しましょう。
食費を節約するための基準としては、「仕出し弁当より安く済んでいるかどうか」に着目するとよいでしょう。現場の仕出し弁当は500円~700円ほどなので、1食分をそれ以下にできていたら食費を抑えられていると考えられます。

工務店ごとに利用できる制度は利用する
所属している工務店によっては、職人の金銭的負担を減らすためにさまざまな措置が用意されています。
まず、多くの人が思いつきやすいのが社宅や寮でしょう。これは中規模くらいの工務店であれば用意されているので、家賃や光熱費を軽減したいという人におすすめです。

またそういったありきたりな制度以外にも、別の班の車に相乗りして事務所に行くといった裏ワザもあります。これができるなら事務所へ出社するための交通費、それどころか大元の車やバイクの用意すら必要なくなるので、かなりの節約が見込めるでしょう。

また車関係については、自分で用意するのではなく使ってない社用車を借りる、もしくは「毎日事務所に来る」ことを約束して使っている社用車を借りるといったこともできます。購入費用や重量税の支払いが無い分、自分で車を所有するよりも負担が減るでしょう。

必要不可欠な道具以外は買わない
職人が仕事をするうえで欠かせない道具については、「無くては仕事ができないもの」と「あったら仕事が捗るもの」の二つに分けられます。たとえば大工の場合、ハンマー(げんのう)は無いと釘が打てないので必須です。でも釘打ち機(鉄砲)に関しては、あったら便利であるものの極論無くても仕事ができます。

ただ、スピードが遅くとも仕事ができる道具が揃っているのであれば、無理して新しく道具を買う必要はありません。他の人から「買え」と圧力がかかることもありますが、仕事で必須だからという理由であれば工務店や親方が用意するべきです。
状況によっては少し難しいこともあるかと思いますが、「必要最低限の道具で十分」ということは覚えておきましょう。その必要最低限の道具をすぐ壊したり無くしたりしなければ、道具代は年間で1万円以下に抑えられます。
カッパは最低でも半年は着る
職人が雨の日に作業するうえで欠かせない雨合羽(カッパ)については、最低でも半年は同じものを着るようにしましょう。
破れたらすぐに買い替えるという人がいますが、カッパというのも中々馬鹿にできません。最低でも3,000円前後、高いものだと1万円ほどするので、ポンポン買い替えていたらもったいないです

もちろん、雨に濡れて体調を崩したら元も子もないので、段階によっては半年という期間に関係なく買い替えましょう。
靴は1足、作業着は3着あれば十分
安全靴を数種類、作業着を冬用夏用で1週間分ほど持っているという人がいますが、そんなに必要ありません。
たしかに作業着といえどオシャレさを重視したり、着まわして気分をあげたりしたい気持ちはわかりますが、これも前述した道具でいうところの「あったら仕事が捗るもの」です。

要注意!職人が貯金をするうえで避けるべき5つのこと
建設業には職種特有の、貯金を阻害する要因となるものが多々あります。そのなかでも、とくに意識して避けるべきことは以下の5つです。
- 昔ながらの「飲む・打つ・買う」
- 親方への「前借り連鎖」
- たびたび出回る「楽な儲け話」
- 行き帰りに絶対寄る「コンビニ」
- ついダラダラしてしまう「急な休みの日」
「飲む打つ買う」は絶対に禁止
職人といえば、昔ながらの「飲む打つ買う」といった文化がまだ根強く残っています。この「飲む打つ買う」の習慣は大きな散財の元になるので、貯金をしたいなら絶対に避けるべきです。
また「一服」という名目の休憩時間があるため難しいですが、できればタバコも止められるとなおよいでしょう。

どうしても我慢できないというなら、前述した節約方法をもっと過剰におこなうようにして、少しでも採算を合わせるようにしましょう。
親方への「前借り連鎖」はどこかで断ち切る
建設業では子方から親方へ給料を前借りすることが多々あります。「前借り連鎖」とは、それを毎月繰り返してしまうことです。(筆者が勝手に名付けています)
前借り連鎖は「返した分足りなくなって借りる」ということなので、極端にいうと「10返して10借りる」といったことを繰り返しているだけです。つまり、どこかで複数回「10返して9借りる」ということができれば、前借り連鎖から脱却できます。

前借りをしているということは、そもそも収支のバランスがとれていないということです。前借りをしているようでは貯金なんかできないと考えてください
楽な儲け話には乗らない
建設業種ではお金のトラブルも多々あるため、定期的に怪しさ全開の「楽な儲け話」が出回ります。

実際に筆者の現役時代、そういう誘いに乗ったせいで厄介ごとに巻き込まれて、しばらく仕事に出れなくなりその分給料が足りなくなった人がいました。そういったリスクもあって全然プラスにはならないので、楽な儲け話には乗らないようにしましょう。
行き帰りのコンビニは我慢
基本的に職人は事務所に集合して、複数人の班員とともに1台の車で現場に向かいます。そのため自分は用がなくとも他の人の希望によって、行き帰りの道中で半強制的にコンビニに寄らなければいけません。
行きの車内では朝ご飯の美味しそうなにおいを漂わせる人、帰りの車内ではたまらなさそうにお酒を飲む人など、かなりの誘惑があるでしょう。ただ、「コンビニに行かない」というのは基本的な節約方法であるため、どうにか我慢をするべきです。

急な休みの日はダラダラしない
建設業では悪天候や現場でのトラブルによって、突発的に仕事が休みになることが多々あります。普段から早起きして肉体を酷使しているため、「休みになってラッキー!帰って寝よう」と思う気持ちは元職人としてすごくわかるのですが、その休日の分お給料は下がってしまうので、ダラダラ過ごしていてはもったいないです。
本来であれば働いていた日であるため、休みだとわかったら別の班や工務店に連絡を取ってみて、いけそうだったら応援として混ぜてもらいましょう。
またこういった突発的な休みができたときのために、クラウドソーシングサービスで仕事のツテを探しておくのもひとつの手です。都合がよい時だけスポットでできる仕事は貴重なので、普段から空き時間を活用して探しておくとよいでしょう。
堅実にお金を貯めて快適な職人ライフを送ろう
職人は出費の多い職業ではありますが、貯金ができないということは決してありません。
ポイントを理解して実行すればマイナスが減って、その分プラスが蓄積されていくので、一般職と同じように貯金ができます。
どこをどのように削るかは各々の状況や環境によっても異なるので、本記事で紹介した内容を参考に最適な節約方法を考えてみてください。