悩んでいるのに、それを周囲に打ち明けられない人っていますよね。
周囲の人は話してほしいと思っているのに、頑なに悩みを言いたがらないのは何故なのか…
しかし、悩んでいる本人は意固地になっているわけではなく、色々と考えた末に「言わない」という選択をしたのかもしれません。
本稿では悩みを他人に言いたくないという人の心理傾向や、解決策について紹介します。
目次
悩みを言いたくない人の3つの心理傾向
悩みを言いたくない人の心理傾向として、3つのパターンが挙げられます。
- 現状維持
- 疑心暗鬼
- 自己陶酔
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
現状維持
悩みを人に言いたくない心理として、いちばん多いのがこの「現状維持」です。
悩みを他人に打ち明けると、相談された人は一緒に悩んでくれたり、アドバイスをくれたりしますよね。
そのように、悩みを打ち明けたことによって状況や他者の行動を変えてしまうのを恐れており、結果として何もしないことを選びます。
もちろん、悩みを打ち明けた後の変化はネガティブなものばかりではありません。
しかし現状維持を望む人はプラスマイナスかかわらず、悩みを言うことで訪れる変化を回避したいと考えているのです。
変化に順応するためには、少なからず本人も時間や労力を費やす必要があります。
その変化に伴い必要なコストを嫌がって、悩みを言いたくないと考えるのです。
疑心暗鬼
悩みを言いたくないのは、疑心暗鬼に陥っているからなのかもしれません。
- 相談した人が周囲に広めるかもしれない
- 余計なことをして悪化させるかもしれない
- 自分のことを嫌いになるかもしれない
そのように悪い展開ばかりを考えてしまい、誰にも相談しないことを選びます。
現状維持が「誰にも言わなければ良くも悪くも変わらない」とするならば、疑心暗鬼は「誰にも言わなければ少なくとも悪化することはない」といったところでしょう。
また、疑心暗鬼に陥っている人の難しいところは、何をしてもネガティブに反応してしまうところです。
「話を聞くだけだから」「誰にも言わないから話してみて」と伝えても逆効果で、距離を置かれてしまいます。
相手が疑心暗鬼に陥っていると、とくに悩みを引き出すのが難しいでしょう。
自己陶酔
自己陶酔に浸っていて、悩みを言わない可能性も考えられます。
悩みを抱えて憂いている自分が好きで、わざと悩みを解決しないでいようとしているのです。
自己陶酔には悩みがあることを周囲にアピールする人と、悩みを解決させないために周囲に言わない人の2種類がいます。
どちらにしても解決させる気がないので、他者に対して具体的な相談をしたり、アドバイスを求めたりしません。
また「悩んでいる」としているだけで、実際のところそこまで悩んでいないという可能性もあります。
そもそも悩んでいない場合は、悩みを聞き出すことなんてできませんよね。
人に悩みを相談できない5つの理由
潜在的な心理傾向とは別に。悩みを言えないことには具体的な理由があります。
大きなものとしては以下の5つです。
- 人に弱みを見せたくない
- 相手を悩ませてしまうことが心配
- 悩みを否定されるのが怖い
- どう話していいかわからない
- そもそも知人に言える内容じゃない
人に弱みを見せたくない
悩みを言いたくないのは、他人に弱みを見せたくないからかもしれません。
弱みを見せたくないと思うことをさらに細分化すると、下記のようになります。
- 弱みにつけ込まれそうで不安
- 情けない一面を知られたくない
- 弱点を悪用されるかもしれない
このように弱みを見せることによる悪い影響ばかりが気になって、自分の奥底に悩みを閉じ込めてしまうのです。
相手を悩ませてしまうことが心配
悩みやすい人ほど心根が繊細です。そして繊細すぎる人の場合、悩んでいる自分自身でなく、相談された人が嫌な気持ちにならないかを心配します。
愚痴や相談をした後に、「ごめんねこんな話をしちゃって」なんて言う人がいますよね。
その感覚が極まると相手を悩ませてしまうのが嫌で、そもそも相談すること自体を避けるのです。
悩みを否定されるのが怖い
悩んでいる=弱っていると考えた時、できる限り人から優しくされたいもの。
そんな状況で、励ましてもらうために悩みを相談したのに、悪い意味で予想だにしていないことを言われたら驚きますよね。
内容が否定やお説教だったら、驚くどころか嫌に感じるでしょう。
そのように、相談したことで人から否定されるのが怖くて相談できない人もいます。
自分にも少し負い目がある悩みを抱えていたときに多い理由です。
どう話していいかわからない
悩みそのものを言語化できず、「人に伝える」という行為を諦めてしまう人もいます。
そういった方は、「よくわからないけど嫌だ」「なんだかモヤモヤする」という漠然とした悩み方をしているのです。
他人が言葉を引き出して整理し、代わりに言語化できるとスッキリするのですが、そこまで進めるのが難しいでしょう。
どうせ説明できないと諦めて、そのまま悩みを抱え込んでしまいます。
そもそも知人に言える内容じゃない
もしかすると、そもそも他人に言えるような悩みじゃないのかもしれません。
- 借金で首が回らない
- 浮気をしてしまった
- 犯罪に関わってしまった
そのようなキツめの悩みを知人に言うと、また別の知り合い拡散されたり、知人が離れていったりする懸念があります。
そういったリスクを恐れて、切羽詰まっている状況にも関わらず相談ができないのです。
逆に、全く面識がない第三者相手であれば簡単に相談できてしまうというケースもあります。
相談相手さえ選べば解決するので、5つの理由のなかにおいては解消しやすいものだといえるでしょう。
悩みを誰にも言いたくないという人に多い特徴
悩みを誰にも言いたくないという人々には、いくつかの共通した特徴が見られます。これらの特徴を理解することで、自己開示の難しさの根源を探り、改善の糸口を見つけることができるでしょう。以下に、そのような人々に多く見られる特徴を挙げます。
- 完璧主義的な傾向
- 他者への不信感
- 自尊心の低さ
- 過去のトラウマ体験
- 文化的背景の影響
これらの特徴について、詳しく見ていきましょう。
完璧主義的傾向が自己開示を妨げる
悩みを誰にも言いたくない人の多くに見られる特徴の一つは、強い完璧主義的傾向です。この傾向は、自己開示を大きく妨げる要因となっています。
完璧主義者は、自分自身に対して非常に高い基準を設定します。彼らは常に最高の状態でいなければならないと感じ、どんな小さな欠点や弱点も許容できません。このため、悩みや問題を抱えていること自体を、自分の不完全さの証明だと捉えてしまいます。
また、完璧主義的な人は他者からの評価に過度に敏感です。悩みを打ち明けることで、自分が弱い人間だと思われるのではないか、他者からの尊敬や信頼を失うのではないかという不安を抱きます。この不安が、自己開示への強い抵抗感につながります。
さらに、完璧主義者は問題解決に対しても完璧を求めます。悩みを打ち明けた際に、即座に完璧な解決策が見つからない可能性を恐れ、そもそも悩みを口にすることを避けてしまいます。
この完璧主義的傾向を克服するためには、まず自己受容の姿勢を育むことが重要です。誰もが悩みや問題を抱えるのは自然なことであり、それは人間として成長するための機会でもあることを理解する必要があります。また、「完璧」ではなく「十分に良い」状態を目指す思考へのシフトも効果的です。悩みを打ち明けることで得られる潜在的な利益に目を向けることで、自己開示への抵抗感を徐々に減らしていくことができるでしょう。
他者への不信感が心の壁を作る
悩みを誰にも言いたくない人のもう一つの顕著な特徴は、他者に対する強い不信感です。この不信感が、自己開示を妨げる大きな心の壁となっています。
他者への不信感は、様々な要因から生じる可能性があります。過去の裏切りや失望の経験、批判的な環境での成長、社会的なステレオタイプの内面化などが、その原因として考えられます。
不信感を抱く人は、自分の悩みや弱点を他者に知られることで、何らかの不利益を被るのではないかと恐れます。例えば、打ち明けた悩みが他人に漏らされるのではないか、悩みを知った相手に利用されるのではないかといった懸念を抱くことがあります。これらの不安や懸念が、自己開示への強い抵抗感を生み出します。
この他者への不信感を克服するためには、まず小さな自己開示から始めることが重要です。信頼できそうな人を選び、比較的リスクの低い話題から少しずつ自己開示していくことで、他者との信頼関係を徐々に築いていくことができます。また、自己開示のメリットに目を向けることも効果的です。悩みを打ち明けることで得られる可能性のある利益を意識することで、自己開示への動機づけを高めることができるでしょう。
自尊心の低さが自己開示を躊躇させる
悩みを誰にも言いたくない人に見られるもう一つの重要な特徴は、自尊心の低さです。自分自身に対する価値評価が低いことが、自己開示を大きく妨げる要因となっています。
自尊心の低い人は、自分の考えや感情に価値がないと感じがちです。そのため、自分の悩みを他人に打ち明けることが、相手の時間を無駄にしたり、迷惑をかけたりすることだと考えてしまいます。「自分の悩みなんて取るに足らないもの」「誰も私の問題に興味を持たないだろう」といった否定的な思考が、自己開示への抵抗感を強めます。
また、自尊心の低さは、他者からの評価に過度に敏感になる原因にもなります。悩みを打ち明けることで、他人から否定的に評価されるのではないか、軽蔑されるのではないかという恐れを抱きます。この恐れが、自己開示を躊躇させる大きな要因となっています。
この自尊心の低さを克服し、自己開示を促進するためには、自己肯定感を高める練習が効果的です。毎日、自分の長所や達成したことをリストアップしたり、自己批判的な思考をより現実的で肯定的な思考に置き換える練習をしたりすることで、徐々に自尊心を高めていくことができます。
過去のトラウマ体験が自己開示を妨げる
悩みを誰にも言いたくない人の中には、過去のトラウマ体験が大きな影響を与えているケースが少なくありません。これらのトラウマ体験が、自己開示に対する強い抵抗感や恐怖心を生み出しています。
トラウマとなる体験は様々です。例えば、悩みや秘密を打ち明けた後に信頼を裏切られた経験や、自己開示後に批判や拒絶を受けた体験などが該当する可能性があります。これらのトラウマ体験は、自己開示に対する強い不安や恐怖を植え付けます。
このようなトラウマによる影響を克服し、健康的な自己開示ができるようになるためには、専門家のサポートを受けることが効果的です。トラウマ専門のセラピストやカウンセラーに相談し、適切な治療を受けることで、過去の痛みから徐々に解放され、安全な自己開示の方法を学んでいくことができるでしょう。
文化的背景が自己開示を抑制する
悩みを誰にも言いたくない傾向には、個人の性格や経験だけでなく、文化的背景も大きく影響している場合があります。特定の文化や社会規範が、自己開示を抑制する要因となっていることがあります。
日本を含む多くのアジア文化圏では、集団の調和を重視し、個人の感情表現を控えめにする傾向があります。このような文化的背景では、自分の悩みを打ち明けることで周囲の人々に心配や負担をかけてしまうという懸念や、感情を抑え、辛抱強く振る舞うことが美徳とされる価値観が、自己開示を妨げる要因となる可能性があります。
このような文化的影響を克服するためには、自己開示の価値を再評価することが重要です。悩みを共有することが、人間関係を深め、問題解決の糸口を見つける機会になり得ることを理解し、適切な自己開示が個人と社会の両方にとって有益であるという認識を持つことが大切です。
よくある「人に言えない悩み」の種類
「人に言えない悩み」は、誰もが抱える可能性のある問題です。これらの悩みは個人的で繊細な性質を持つため、多くの人が他者に打ち明けることをためらいます。
しかし、このような悩みを認識し、適切に対処することは、精神的な健康を維持する上で重要です。以下では、よくある「人に言えない悩み」の種類について詳しく見ていきます。
- 人間関係の不安
- 自己肯定感の低下
- 経済的困難
- 健康上の問題
- 将来への不安
職場での人間関係に悩む
職場での人間関係は、多くの人にとって「人に言えない悩み」の一つです。特に上司や同僚との関係に問題を抱えている場合、その悩みを口にすることは難しいものです。
コミュニケーションの行き違いやパワーハラスメントなどの問題が生じると、仕事への意欲が低下し、ストレスが蓄積されやすくなります。例えば、上司からの過度な叱責や、同僚からの冷ややかな態度に悩まされることがあります。
これらの問題に対処するためには、まず自分の感情を整理することが大切です。問題の原因を客観的に分析し、可能であれば信頼できる第三者に相談することも有効です。また、職場の相談窓口や外部のカウンセリングサービスを利用することも検討しましょう。
容姿や体型に自信が持てない
自分の容姿や体型に自信が持てないことも、多くの人が抱える「人に言えない悩み」です。この悩みは、自己肯定感の低下や社会生活への支障につながる可能性があります。
メディアやインターネットの影響により、理想の体型や容姿に対する社会的なプレッシャーは年々増加しています。これにより、自分の外見に対して過度に批判的になってしまう人も少なくありません。
この悩みに対処するためには、自己受容の姿勢を身につけることが重要です。完璧な外見は存在せず、個性こそが魅力であることを理解しましょう。また、健康的な生活習慣を心がけ、自分自身を大切にする態度を養うことも効果的です。必要に応じて、ボディイメージの専門家やカウンセラーに相談することも検討してみてください。
借金や金銭的トラブルに悩む
借金や金銭的トラブルは、多くの人にとって非常に敏感な「人に言えない悩み」です。経済的な問題は個人の尊厳や社会的地位に影響を与える可能性があるため、他人に打ち明けることを躊躇する人が多いのです。
クレジットカードの過剰利用やギャンブル依存など、様々な要因が金銭的トラブルを引き起こす可能性があります。これらの問題は、放置すると更に深刻化する恐れがあります。
この悩みに対処するためには、まず自分の財政状況を正確に把握することが重要です。収支のバランスを見直し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることも検討しましょう。金融機関や法律の専門家に相談し、債務整理や返済計画の立案を行うことも有効な解決策となり得ます。また、金銭管理のスキルを向上させ、健全な金銭感覚を養うことも大切です。
性的指向や性自認に悩む
性的指向や性自認に関する悩みは、非常に個人的で繊細な「人に言えない悩み」の一つです。社会の理解が徐々に進んでいるものの、依然としてこの問題について話すことに抵抗を感じる人は多いでしょう。
自分のセクシュアリティに疑問を持つことや、周囲の理解が得られるか不安を感じることは、多くの人が経験する悩みです。この問題は個人のアイデンティティに深く関わるため、一人で抱え込むと精神的な負担が大きくなる可能性があります。
この悩みに対処するためには、まず自分自身を受け入れることが重要です。信頼できる人に少しずつ打ち明けていくことで、サポートを得られる可能性があります。また、カウンセリングや同じ悩みを持つ人々のコミュニティに参加することも、自己理解を深め、孤独感を軽減するのに役立つでしょう。社会の多様性への理解が進む中、自分らしく生きる勇気を持つことが大切です。
家族との関係に悩む
家族との関係は、多くの人にとって「人に言えない悩み」の一つです。家族は最も身近な存在であるだけに、その関係に問題を抱えると精神的な負担が大きくなりがちです。
親子間の価値観の相違や兄弟姉妹との確執など、家族関係の悩みは多岐にわたります。例えば、親の期待に応えられないことへのプレッシャーや、家族の病気や介護の問題などが挙げられます。これらの悩みは、他人に相談することで家族の評判を落とすのではないかという懸念から、口に出しにくいものです。
この悩みに対処するためには、まず家族との対話を試みることが大切です。互いの気持ちや考えを理解し合うことで、問題解決の糸口が見つかるかもしれません。しかし、対話が難しい場合は、家族療法やカウンセリングなどの専門的なサポートを受けることも検討しましょう。また、自分自身の心の健康を維持するために、趣味や友人との交流など、家族以外の生活の充実を図ることも重要です。
悩みを人に言えない性格の改善策
悩みを人に言えない性格を改善するには、以下のような方法が効果的です。
- 自己開示の重要性を理解する
- 信頼できる人を見つける
- 段階的に悩みを打ち明ける練習をする
- 表現力を磨く
- 専門家のサポートを受ける
これらの改善策について、詳しく見ていきましょう。
自己開示の意義を理解し心の壁を取り払う
悩みを人に言えない性格を改善する第一歩は、自己開示の意義を深く理解することです。自己開示とは、自分の内面的な思考や感情を他者に伝えることを指します。多くの人は、自分の弱さや問題を他人に知られることを恐れますが、適切な自己開示には多くのメリットがあります。
まず、自己開示によって心理的な負担が軽減されます。悩みを言葉にして誰かに伝えることで、心の中にあった漠然とした不安や苦しみが整理され、問題がより具体的になります。これにより、解決への糸口が見えやすくなることがあります。
また、自己開示は他者との関係性を深める上で重要な役割を果たします。自分の内面を開示することで、相手との信頼関係が築かれ、より深い絆が生まれる可能性があります。相手も自分の悩みを打ち明けてくれるようになり、互いに支え合う関係性が構築されます。
さらに、自己開示は自己理解を促進します。自分の悩みや感情を言葉にして伝えようとする過程で、自分自身のことをより深く理解することができます。これは個人の成長や自己啓発にもつながります。
ただし、すべての悩みを誰にでも打ち明ける必要はありません。状況や相手との関係性を考慮し、適切な自己開示のバランスを見つけることが大切です。自己開示の意義を理解し、少しずつ心の壁を取り払っていくことで、より健康的な人間関係と心の状態を築くことができるでしょう。
信頼できる相談相手を見つける
悩みを人に言えない性格を改善するための重要なステップは、信頼できる相談相手を見つけることです。すべての人に自分の悩みを打ち明ける必要はありませんが、少なくとも一人か二人、心を開いて話せる相手がいることは非常に大切です。
信頼できる相談相手を見つけるためには、まず自分の周りの人々を注意深く観察してみましょう。家族、友人、同僚など、日常的に接する人々の中で、以下のような特徴を持つ人がいないか探します。
- 良い聞き手である
- 秘密を守る能力がある
- 批判的でなく、理解を示してくれる
- アドバイスを押し付けるのではなく、支持的な態度を取る
- あなたの価値観や感情を尊重してくれる
このような特徴を持つ人を見つけたら、徐々に関係性を深めていくことが大切です。最初から深刻な悩みを打ち明ける必要はありません。日常的な会話の中で、少しずつ自分の気持ちや考えを共有していくことから始めましょう。
また、同じような悩みや経験を持つ人を見つけることも効果的です。例えば、同じ趣味や関心を持つ人々が集まるコミュニティやサポートグループに参加することで、共感し合える仲間を見つけやすくなります。
信頼できる相談相手が見つからない場合は、カウンセラーや心理療法士などの専門家を利用することも選択肢の一つです。専門家は守秘義務があり、あなたの悩みを安全に打ち明けることができます。
信頼できる相談相手を見つけ、少しずつ自己開示していくことで、悩みを一人で抱え込む習慣から脱却し、より健康的な心の状態を維持することができるでしょう。
段階的に自己開示のスキルを磨く
悩みを人に言えない性格を改善するためには、段階的に自己開示のスキルを磨いていくことが効果的です。いきなり深刻な悩みを打ち明けるのは難しいかもしれませんが、小さな一歩から始めることで、徐々に自己開示に慣れていくことができます。
まずは、日常的な会話の中で自分の感情や意見を少しずつ表現する練習をしましょう。例えば、「今日の天気は気分が良くなりますね」や「この料理は私の好みです」といった軽い自己開示から始めます。これらは比較的リスクの低い自己開示であり、相手との会話を円滑にする効果もあります。
次に、少し踏み込んだ自己開示にチャレンジします。例えば、「最近仕事が忙しくて少し疲れ気味です」や「新しい趣味を始めたいのですが、なかなか一歩が踏み出せません」といった、やや個人的な内容を共有してみましょう。この段階で相手の反応を観察し、支持的な反応が得られた場合は、さらに深い自己開示へと進んでいきます。
より深刻な悩みを打ち明ける際は、状況を慎重に選びましょう。プライバシーが確保された落ち着いた環境で、十分な時間を取って話すことが大切です。また、相手の状況にも配慮し、相手が話を聞く余裕がある時を選ぶようにします。
自己開示の際は、自分の感情や考えを具体的に表現するよう心がけます。「何となく気分が落ち込んでいる」ではなく、「仕事でのプロジェクトの遅れに不安を感じている」というように、具体的な状況や感情を伝えることで、相手の理解が深まります。
また、自己開示後の相手の反応にも注目しましょう。支持的な反応が得られた場合は、その人との関係をさらに深めていく良い機会となります。一方で、否定的な反応や無関心な態度を示された場合は、その人が適切な相談相手でない可能性を考慮し、別の信頼できる人を探すことも検討しましょう。
段階的に自己開示のスキルを磨いていくことで、徐々に悩みを打ち明けることへの抵抗感が減り、より健康的なコミュニケーションを取れるようになっていくでしょう。
自己表現力を高めるコミュニケーション訓練
悩みを人に言えない性格の改善には、自己表現力を高めるコミュニケーション訓練が非常に効果的です。自分の思考や感情を適切に言語化し、他者に伝える能力を向上させることで、悩みを打ち明けやすくなります。
まず、日記やジャーナリングの習慣をつけることから始めましょう。毎日短時間でも、自分の感情や出来事を書き留める習慣をつけることで、自己の内面を言語化する練習になります。最初は簡単な出来事や感情から始め、徐々に深い思考や悩みについても書いていくようにします。
次に、「私メッセージ」の使用を意識的に増やしていきます。「私メッセージ」とは、自分の感情や考えを「私は~と感じる」「私は~と思う」という形で表現する方法です。例えば、「あなたの行動は不適切だ」ではなく、「あなたの行動に私は不快感を覚えます」というように表現します。これにより、相手を非難せずに自分の気持ちを伝えることができます。
また、アサーティブコミュニケーションのスキルを学ぶことも有効です。アサーティブネスとは、自分の権利や意見を主張しつつ、他者の権利や意見も尊重するコミュニケーション方法です。例えば、「申し訳ありませんが、今回のプロジェクトの締め切りは厳しいと感じています。一週間の延長は可能でしょうか?」というように、自分の要望を明確に伝えつつ、相手の立場も考慮した表現を使います。
さらに、ロールプレイングやシミュレーションも効果的な訓練方法です。信頼できる友人や家族と協力して、悩みを打ち明けるシチュエーションを想定し、実際に会話の練習をしてみましょう。この過程で、言葉の選び方や表情、声のトーンなども意識的に工夫してみます。
最後に、非言語コミュニケーションにも注目しましょう。適切なアイコンタクト、オープンな姿勢、相手の話を聞く際の相槌など、言葉以外のコミュニケーション要素も重要です。これらを意識的に練習することで、より自然で効果的な自己表現が可能になります。
これらの訓練を通じて自己表現力を高めていくことで、悩みを打ち明ける際の不安や抵抗感が軽減され、より円滑なコミュニケーションが可能になるでしょう。
専門家のサポートを活用する
悩みを人に言えない性格の改善において、時として専門家のサポートを活用することが非常に効果的です。特に、長年の習慣や深い心の傷が原因で自己開示が困難な場合、専門家の助言や治療が大きな助けとなる可能性があります。
まず、心理カウンセラーや心理療法士との定期的なセッションを検討しましょう。これらの専門家は、クライアントの話を傾聴し、安全で支持的な環境の中で自己開示の練習をする機会を提供します。専門家との対話を通じて、自己開示の恐れや不安の根源を探り、それらを克服するための具体的な戦略を立てることができます。
認知行動療法(認知療法)は、悩みを人に言えない性格の改善に特に効果的なアプローチの一つです。この療法では、自己開示を妨げる否定的な思考パターンを識別し、それをより健全で適応的な思考に置き換える訓練を行います。例えば、「悩みを打ち明けると弱い人間だと思われる」という思考を、「悩みを共有することで問題解決の糸口が見つかるかもしれない」という前向きな思考に変換する練習をします。
また、グループセラピーへの参加も検討に値します。同じような課題を抱える人々と交流することで、自分一人ではないという安心感を得られるとともに、他の参加者の経験から学ぶことができます。グループ内で安全に自己開示の練習をすることで、実際の生活での対人関係スキルの向上にもつながります。
アサーティブネストレーニングのワークショップやセミナーに参加するのも良い方法です。これらのプログラムでは、自己主張と他者尊重のバランスを取りながら、効果的にコミュニケーションを行う技術を学ぶことができます。
専門家のサポートを受けることで、自己理解が深まり、より効果的な改善策を見出すことができます。また、定期的なフォローアップにより、継続的な成長と改善を実現することができるでしょう。悩みを一人で抱え込まず、専門家の力を借りることで、より健康的で充実した人間関係を築く第一歩を踏み出すことができます。
【本人向け】悩みを言いたくない時の解決策
極論、悩みを言いたくないのであれば無理して言う必要はありません。
ただ自分の健康に悪影響を及ぼしたり、業務や学業に差し支えたりなど、自分の心の中だけで完結しない場合は改善を図るべきです。
そして、悩みを解消するのが自分一人の力だけで難しい時は、誰かに相談したり助力を得たりする必要があります。
まずは悩みの傾向について分析して、最適な相談先を考えてみましょう。
・知人に言っても問題ない悩み⇒信頼できる「友人」や口の堅い「知人」
・知人に言いたくない悩み⇒カウンセラーや占い師など「第三者」
【知人向け】悩みを言いたくない人への対処法
「悩んでいる人を助けたい」と考えている人が注意すべきなのが、悩んでいる人と同じ目線に立てるかどうかという点です。
たとえば、頑張っているのにモテないことを悩んでいる人に対して、生まれついてのイケメンや美女が何を言っても響きません。
悩んでいる人からすると、自分と同じ気持ちを味わったことがない人、もしくは境遇を想像できないような人の意見ほど、薄っぺらいものはないのです。
自分と違う立ち位置の人が何を言っても、それはアドバイスになってしまいます。
悩みを自ら吐き出せる人であればアドバイスを求めていますが、吐き出せないような人はアドバイスなんて求めていません。
よって同じ目線に立てないならば、そもそも相談相手として適していないといえます。
また同じ目線に立てる確証があるのなら、相手の話を引き出す前に自分の話をするのもおすすめです。
人間誰しも、自分の気持ちがわかって賛同してくれる人を好むもの。
同じ感覚を共有できると判断できたら、悩みを打ち明けてくれる可能性がグッと高まります。
そして同じ立場に立つのが難しいならば、知り合いで同じ境遇の人を探して紹介するのもひとつの手です。
悩みを言いたくないと考える人が求めているのは目上からのアドバイスでなく、共感や同調であると覚えておきましょう。
悩むことは人生を豊かにさせる
何かに悩むことはマイナスではありません。
一つひとつのことを悩み考え抜いて生きるのは、何も考えずに生きるよりもずっと有意義だといえます。
しかし、悩み続けることが精神衛生上良くないこともたしかです。
悩みを抱えるのが自分でもそうでなくても、機会があれば解決するために動き出すことを意識しましょう。