「素直で色々なことを吸収できる人」「素直で努力家な人」といった、求人などで企業が求めている「素直さ」について、勘違いをしている人は多いです。
素直さを履き違えていて良いことは何一つありませんので、一度ビジネスにおける素直さについて考え直してみましょう。
素直さに定評がある筆者自身が今までに感じた、ビジネスにおける素直さについての全てを解説します
目次
ビジネスにおける「素直さ」とは?
ビジネスにおける素直さとは、すなわち柔軟性があることを指します。
アドバイスを取り入れられる、失敗を反省して改善していけるなど、自分にとってプラスになるかマイナスになるかなど関係なく多くのことをインプットできる人間を、素直な人材だといいます。
反対に頑なな人材は、自分本位の言い訳や損得勘定によって動いており、情報をインプットする際に「主観」というワンクッションが入るため、業務や人付き合いにおける向上が見込めません。
また業務において教育をする際にも、素直さがあれば教えたことをそのまま吸収してくれるので、素直さ=成長率だといっても過言ではないでしょう。
なぜ素直さが企業から重要視されるのか
前述の素直さを持ち合わせた人材は、どのような状況でも柔軟に形を変えて適合することができます。素直な人材を採用することで企業側からすると、現在の従業員との人間関係による衝突や、教育上の軋轢を防ぐことができるのです。
反して素直さに欠けている人材の場合、ビジネスにおいて以下のようなトラブルを呼び込む危険性があります。
- 上司の悪い部分ばかりが目について言うことを聞かなくなる
- 教わったことを自分流に変更して従来の業務を煩雑にする
- アドバイスや説教に対して言い訳や反論から返す
- ミスした際など取り繕ったり嘘をついたりして謝らない
素直な人材の場合は成長率が期待できるだけでなく、これらのトラブルを回避できる可能性が高いため、企業が重要視しているのです。
ただ冒頭でも述べたとおり、素直さについて歪曲して理解している人も実際のところ多くいます。
素直さ=従順さだと勘違いする人や企業も多い
素直な人は伸びるということについて、素直さ=従順さだと認識を違えている人も多くいます。
確かにアドバイスを聞いて改善点もすぐに取り入れると考えると、言われたことを鵜呑みにする従順な人をイメージするでしょう。ですが素直さとはあくまで柔軟性があることなので、イエスマンであれということではありません。
そこを勘違いしており、自分で物事を考えずに流されるがままの自分を素直だと考えていて、職場でギャップに苦しむ人も多くいます。
また逆に企業側が勘違いをして、間違った素直さをもっている人材を求めているケースも多々あります。
悪質な社風を持ち、時代に逆行してそれを改善することもなく、そこに適合できる人材こそが素直だと信じて募集・採用・離職・募集…と、悪循環を脱却できないのです。
企業側は都合が良い人材=素直さがある、人材側はイエスマン=素直さがあると、それぞれ誤認しないように注意しましょう。
新しい知識や技術に対する学習意欲
素直さの二つ目の特徴は、新しい知識や技術に対する旺盛な学習意欲です。ビジネス環境は常に変化しており、新たなスキルや知識の習得が求められます。この変化に柔軟に対応する姿勢が、素直さとして高く評価されます。
積極的に新しいことにチャレンジする姿勢は、組織の成長にも貢献します。例えば、新しいソフトウェアの導入時に、「使い方がわからない」と諦めるのではなく、「学ぶ機会を得た」と前向きに捉え、自主的に勉強会を開催するなどの行動が評価されます。
このような姿勢は、自身のスキルアップだけでなく、組織全体の競争力向上にもつながります。常に学ぶ姿勢を持ち続けることで、自己成長と組織への貢献を両立させることができるのです。
自己の非を認める勇気
ビジネスで評価される素直さの三つ目の特徴は、自己の非を認める勇気です。誰しも間違いを犯すことはありますが、それを素直に認め、改善に取り組む姿勢が重要です。
自分の失敗や間違いを隠そうとせず、正直に報告することは、信頼関係を築く上で欠かせません。例えば、締め切りに間に合わないことが分かった時点で、すぐに上司や関係者に報告し、対策を相談することが大切です。
このような行動は、問題の早期発見・解決につながるだけでなく、周囲からの信頼も高めます。自己の非を認めることは、決して弱さではなく、むしろ強さの表れとして評価されるのです。
他者の意見を尊重する態度
四つ目の特徴は、他者の意見を尊重する態度です。自分と異なる意見や考え方に対しても、謙虚に耳を傾ける姿勢が素直さとして評価されます。
多様な意見を受け入れる柔軟性は、チームワークを向上させ、より良い結果を生み出す力となります。例えば、プロジェクトの方向性について議論する際、自分の意見だけでなく、他のメンバーの意見も積極的に取り入れようとする姿勢が大切です。
このような態度は、職場の雰囲気を良好に保ち、創造的な議論を促進します。他者の意見を尊重することで、自分自身の視野も広がり、より深い洞察力を身につけることができるのです。
柔軟な思考と適応力
最後の特徴は、柔軟な思考と適応力です。ビジネス環境の変化に対して、固定観念にとらわれず、柔軟に対応できる能力が求められます。
状況の変化を受け入れ、迅速に方針を転換できることが、素直さの一つの表れとして評価されます。例えば、長年続けてきた業務プロセスの変更が必要になった際、「今までのやり方で十分だ」と頑なに拒否するのではなく、新しい方法の利点を理解し、前向きに取り入れる姿勢が重要です。
この柔軟性は、組織の競争力を維持し、イノベーションを促進する上で不可欠です。変化を恐れず、常に最適な方法を模索する姿勢が、ビジネスにおける素直さとして高く評価されるのです。
素直なことで仕事に悪影響は出る?デメリットは?
素直さは多くの場面でポジティブな評価を受けますが、状況によってはデメリットが生じる可能性もあります。以下では、素直すぎることで起こり得る3つの問題点について解説します。
- 自己主張の不足による機会損失
- 過度な同調による創造性の低下
- 批判的思考の欠如によるリスク
自己主張の不足による機会損失
素直すぎるあまり、自分の意見や考えを適切に主張できないケースがあります。これは、ビジネスにおいて重要な機会を逃す原因となる可能性があります。
例えば、会議の場で良いアイデアを持っていても、他の人の意見に素直に従ってしまい、自分の案を提案できないことがあります。また、昇進や新しいプロジェクトの機会があっても、「他の人の方が適任だろう」と遠慮してしまい、チャンスを逃してしまうこともあります。
適度な自己主張は、自分の価値を示し、キャリアを前進させるために重要です。素直さと自己主張のバランスを取ることが、ビジネスパーソンとしての成長には不可欠です。
過度な同調による創造性の低下
素直さが高じて、周囲の意見に過度に同調してしまうと、創造性が失われる可能性があります。新しいアイデアや革新的な解決策は、既存の考え方に挑戦することから生まれることが多いからです。
例えば、「前例がない」という理由だけで新しい提案を諦めてしまったり、上司の意見に無条件に従うあまり、より良い代替案を考えることをやめてしまったりすることがあります。
健全な批判精神を持ち、時には既存の枠組みに挑戦する勇気も必要です。素直さと創造性のバランスを取ることで、組織に新しい価値をもたらすことができます。
批判的思考の欠如によるリスク
素直すぎることで、批判的思考が欠如し、潜在的なリスクを見逃す可能性があります。与えられた情報や指示をそのまま受け入れてしまい、その妥当性や潜在的な問題点を検討しないケースです。
例えば、上司から無理な要求や法令に抵触する可能性のある指示を受けた際に、素直に従ってしまい、後々大きな問題に発展してしまうことがあります。また、クライアントの要望をそのまま受け入れることで、プロジェクトの成功を危うくするリスクもあります。
適切な批判的思考を持ち、必要に応じて質問や意見を述べることは、リスク管理の観点からも重要です。素直さと批判的思考のバランスを取ることで、より安全で効果的なビジネス活動が可能となります。
ビジネスにおける素直さを養うための3つの方法
ビジネスにおける素直さは、たった3つの方法によって誰でも養うことができます。
- とりあえず何でもやってみる
- 良いところを探すようにする
- 嘘や取り繕うことをしない
人から評価される素直さを手に入れてビジネスに活かしたいという人は、ぜひ実践してみて下さい。
それぞれについて、実践方法と共に解説します。
とりあえず何でもやってみる
頼まれたことや言われたことは、深く考えずにとりあえずやってみましょう。
もちろんすぐに問題点が浮かぶような無茶ぶりに応える必要はありませんが、じっくり考えて懸念が残る程度であればひとまずはチャレンジしてみることがおすすめです。
ビジネスにおける素直さを養うためには、否定することからでなく肯定することから始まります。
一度取り組んでみてどういった問題に直面したか、遂行するためにどのような対策をとるかといった流れが、企業が求めている素直な人材が起こす行動と同一です。
どうしても進行不可の場合のみ「やはり難しいです」と差し戻すようにして、門前払いはしないように心がけてみましょう。
良いところを探すようにする
人相手でもプロジェクトに対しても、悪いところだけでなく良いところを見ることが重要です。
やはり仕事と言えど人間関係や業務において納得できないことは、誰しも多くあります。
ビジネスにおける素直さを持った人は、悪いところだけでなく良いところも天秤にかけて、納得したうえで取り組むことができるのです。
納得して携わっているか、不満を持って携わっているかは、業務や人付き合いの結果として露骨に表れます。
不満を持ってるなと感づかれてしまうことも多いので、良いところを探せる能力はしっかりと養っておきましょう。
嘘や取り繕うことをしない
ビジネスにおける素直さと正直であることは限りなく同一です。
失敗を犯したときについつい体裁を保つために、嘘をついたり取り繕ったりする人もいますが、それは素直さとはかけ離れた行動なので、それらをやめることも素直さを養ううえで重要だといえます。
そういった癖がある人は、まずそれをやめることがビジネスにおける素直さを養うための第一歩です。
真の素直さを手に入れてビジネスを円滑に進めよう
ビジネスで重要な素直さとは一朝一夕で手に入るものではありませんが、前述のとおり鍛えることはできます。
素直さを身につけてそれを対外的にアピールできれば、転職や商談など如何なるビジネスシーンも有利に進められるでしょう。
ビジネスを円滑におこなうためにも、ぜひ真の素直さを手に入れてください。